これは、汗により着物と帯の摩擦で、背に帯の色が打ち合った状態です。着用時に帯で隠れてしまう場所なら、汗抜きをして経時変化による汗変色をしないように処置すれば良いのですが、お客様からこの箇所は隠れないため、色落としを依頼されたものです。
まずは下処理のため、汗抜きをしてから色落としにかかります。色抜き剤などで抜ける色でしたが、地色までしっかりと抜けると直すのが難しいので、できるだけ地色を剥がさないようにするのが、肝心です。
上の画像は色落としをしたものですが、やはり地色が抜けているのが、わかると思います。
この後、染料で色補正をしたものが下の画像です。
ほとんど目立たなくなる所まで補正しましたが、汗による摩擦によりできたスレ(毛羽立ち)により生地が荒れているので白けた所は完全には直せません。
今回は地色が薄色だったので、色補正しましたが、濃色で色落としして補正した場合、染料を定着することができないので、また大汗をかいた時には胴裏や帯に色移りしてしまう事になるので、注意が必要です。
お着物により直し方も違ってくるので、直し先でよく相談されることをオススメします。