上の画像は、お客様が持ち込まれたスカジャン(スーベニアジャケット)です。洗濯表示にドライマークがあったので、ご家庭の洗濯機のドライモードで洗濯された結果、地色の深緑が袖に移染しシワや縮も発生しています。
素材はレーヨン、洗濯タグを確認したところ確かにドライマークはありましたが、このマークは家庭ではなく、クリーニング店など専門店によるパークロロエチレン・石油系溶剤による丸洗いが可能という意味なんです。またレーヨンのデリケートな特性からも、水洗いはシワや縮・色物は色落ちしやすいので注意が必要になります。
さて、お預かりさせてもらい部分的にテストをしたのですが、漂白や色抜きをしても思うような結果を残すことができませんでした。あと最終的な方法として、全体を漬け込んでの移染除去処置になるのですが、レーヨンというデリケート素材なので、お客様にどうなっても成り行きで構わないと許可を頂き、作業を進めました。
高温のたっぷりなお湯に、アルカリ洗剤・漂白剤を添加した所にスカジャンを漬け込み、様子を見ながら押し洗いし一時間ほどした後、よくすすぎ・軽く絞り・タオルで脱水して平干して乾燥を待ちます。
結果は御覧の通り、予想以上にきれいに落とすことができましたし、生地や地色を荒らすことなくできたのが良かったです。但し、シワや縮は発生したのでアイロンプレスで伸ばすのに手間を要しました。
今回は洗濯表示を見誤ったために起こった事故ですが、お気に入りのおしゃれ着と言うのは、結構水洗い不可なものが多いです。洗えないえ訳でなく洗うと不具合が起こると認識された上、シミ抜きやひどい汚れの場合は専門店に出されて、着用された度コマメにおしゃれ着洗剤でさっと押し洗いしておくのが、長持ちさせる方法だと考えます。